電気設備においては絶縁状態を維持していることが絶対的な条件である。この事から云えば設備管理は絶縁の管理であるとも云える。
漏電が生じたという事は明らかに 絶縁は不良 になっているはずである(その形態、事態に拘わらず)。
絶縁の管理という考え方に立った場合、下記の現象は何れも結果として漏電しており、その状態をメガーで当たれば明らかな絶縁不良であるが、絶縁の管理 と言う立場で見た場合どう解釈するか。
何れも最終的な結果としては(瞬間的か間欠的か連続かは別にして)電流が流れてはならない所に流れている(敢て言えば漏電している)のである。
電源側に漏電遮断器が設置してあれば間違いなく働くはずであるから、これらの電流は 漏電 と解釈しても異論はないであろう。
これらの原因と結果、それを 「絶縁の管理」 とどう結びつける?
①②以外は何れも原因箇所探査の結果見つかった事例である。
① コンセントを間違って触ってELBが動作した
② 絶縁された台の上に乗っている絶縁不良の機器を、外から触って感電しELBが動作した。
③ 傷のついた電線を床の上に転がし配線してあり、これまで問題なかったが、たまたま水がかかってELBが動作した。
④ 壁の裏側にある電線に、壁板を固定するための釘を打ち込んでしまった。結果的には漏電の継続。
⑤ ビニル電線を針金で吊るしていたが周囲の熱で針金がビニールを破り芯線に接触するようになり漏電するに至った。
⑥ 100V定格の部品を200Vの回路に使用していたため焼損し漏電するに至った。
⑦ 金属製プールボックス内で、接続部分のくせ取りが十分でなかったために、長期間の間に芯線がビニールテープを破り金属のボックスに接触し漏電するに至った。
⑧ 蛍光灯器具の傘を取付けるときに注意不足で電線を挟んでしまい、工事の時点では問題なかったが、最終的に芯線が鉄板に接触し漏電するに至った。
⑨ プラスチック成型機で電線を型に挟んでしまい芯線が型に直接接触するようになった
⑩ 絶縁電線が建物の鉄骨に接触していたが、クレーンの振動により被覆が損傷していき、クレーンで重量物を吊って振動した時だけ漏電するようになった
⑫ 機械の内部で電線の配置が悪く、時々歯車に接触するようになったが、ついには絶縁が破損し、歯車の回転に合せて間欠的に漏電するようになった。
⑬ 活きたままのVVFがどういう訳か放置してあり、何かの弾みでその先端が鉄筋に接触していた。漏電の継続。
絶縁の管理というのであれば、
- 経年変化で劣化していき、
- 最終的には絶縁破壊に至る。
その破壊の前段階をメガーなどで測定することによって検知し、処置をするのが管理としての筋道であろう。上記の事例でそれが可能か?
何れも、予兆は技術的には全くつかむ余地がない、と言うより技術の範疇から外れているのが現実である。
上記したような事例は絶縁の概念では予防措置が執れないのが現実であろう。絶縁がどうこう言う範疇からは完全にはみ出しているはず。
ならば、少なくとも漏電の管理に関しては絶縁云々は議論の対象から外すべきであろう。
そしてこれ等の原因究明にメガーの出番があると思える?
それでも漏電は絶縁不良の結果であるとの主張を継続するつもり?
漏電が絶縁不良の結果と言うのであれば、上記の例を絶縁不良と言う解釈にどのように結び付けるか。
設備管理、従業員教育、工事業者の教育 といったことになるのとちがう?
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