漏電遮断器に関して
最近の機械では多くの場合に電源側に漏電遮断器が設置されている
ところが最近の傾向として、機械での漏電が増加する傾向にある
この漏電はいわゆる絶縁不良による漏電ではなく、ノイズ対策が強化されたことによる漏電の増加が大きいが、その他にインバーターが増加したことによる高調波成分によるものが大きな要素になってきている。更に、温調機能を持ったヒーターではサイリスタ制御が取り入れられ、これ又漏電の増加に寄与している。
LEDの照明回路も台数が少なければ無視できるが、高調波が複雑らしくR相T相で打ち消すことが出来ず、台数が多くなるとB種接地線の見かけ上の漏電が兎に角大きくなる。通常の単3回路の感覚でELBを選択するとひどい目に遭う。注意が必要。
どの様な条件があるにせよこれからのELBの採用には高調波対応型の導入が不可欠。
手持の電動工具を使用するような所では 高感度、高速型が必須 しかしできる限り小分けすることが条件
移動型の機器の場合 ELBも必要だがその前にアースの確実さが必須。可能な限り単独回路にすべきであろう。ELBをシリースにし、バックアップすることも必要であろう。
据置き型の機器の場合には概ね容量が大きくなり、その容量にも依るが平常時の漏電も大きくなる傾向が強いので高感度型の選択には無理が生ずる。確実なアースとの併用で低感度のELBの選択が必要条件になる。
照明回路の場合、これは経験的に言って漏電が全く生じないわけではないが、その発生確率が非常に小さい。更に漏電が生じたところで感電する可能性はまずない。また火災の可能性も現実問題としてないと見ていい。
一方で漏電遮断器があると、これが動作ししたことによる弊害のことを考えると、照明回路とコンセント回路を共通の漏電遮断器に接続するのは論外と言える。電灯回路の漏電が怖かったら漏電警報器を付けておき、警報が鳴った段階でゆっくり原因ヵ所を探し、手当てすれば十分間に合う。
固定して使用する機器の場合、ベースに固定したものであれば、機器自体がそこそこの接地抵抗を持った状態で設置されている形になるので、これにC種接地、D種接地を施せば接地に関してはほぼ完璧な状態になる。この状態では漏電遮断器を設置する必要性は少ない。ただし作業環境が悪く、法令で漏電遮断機の設置が義務づけられているところでは、より安全のために、漏電遮断器の配慮が必要になる。ただしこの場合も漏電遮断器の動作によるあおりを最小限に食い止めための配慮をしておく必要がある。具体的には漏電遮断器を幹線側に取りつけるのではなく、個々の負荷ごとに設置すべきであろう。漏電遮断器の感度は危険を程度応じて選択すべきであろう。一方動作速度は、人が常時機器に触れる可能性のあるものでは、高速型のものが必要である。しかし、殆ど人が触れる可能性ないものでは遅延型で十分である。
問題は可搬型の機器である。多くのものでプラグに接地端子が付いており、また小型の機器においては二重絶縁を施して絶縁の強化をしており、何れも感電の可能性は小さくなっている。しかし、万が一の場合には非常に危険な状態になるので、作業環境にかかわらず漏電遮断器の設置が望まれる。この場合の漏電遮断器は高感度で高速型のものが必要である。
主回路の場合には家庭用を除き感電防止を主目的にすることはない。すると末端回路との保護協調の面からも低感度、遅延型を選択すべきであろう。
照明回路に関しては他の用途の回路とは分けるべきであろう。
同様に、コンピューターの接続されてている回路も独立回路とすべきであろう。
コンピューターと汎用のコンセントの共用は論外である。
漏電は、漏電遮断器を設置することによりすべて回路から切り離してしまえば安全であるとの考えがある。しかし、これで物事が解決するのであろうか? 電源が不意打ちに切られて、弊害が全く生じないであろうか。感電以外で漏電が生じてどの程度の実害が発生しているのであろうか? そしてこの停電することによる実害、漏電そのものによる実害がどの程度検証されているのであろうか。現状では机上の空論のように思えと仕方がない。現実的にはそのバランスを取ることではなかろうか。
無闇に漏電遮断器を付ければ良いと言うものでは無い。負荷の性格を見て明確に区分けすべきである。
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