漏電に関連する事について説明してきたが、B種接地線に流れる電流は前記したような電流ばかりではない。これを整理しておかないと現実は違うと云った事になり、或いは原因究明で壁にぶっつかる事になり対処できなくなるのでまとめてみたいと思う。
(1)高低圧混触時の高圧側の電流
これは変圧器の事故、あるいは高圧の電線が低圧回路に接触したと云った事故の場合であって通常継続して流れる性格のものではない。そして万が一流れたとしても受電点、最悪の場合でも変電所の送り出し端で遮断するので、長くても数秒で遮断されるはず。従って漏電の管理としてみた場合には計測される事はまずなく、除外しておいてもまず問題ない。
(2)線路での対地絶縁不良によるもの
メガーで検出される絶縁不良の典型的なもの。しかし、現実的にはパーセンテージはそれほど多くはない。
(3)負荷機器での対地絶縁不良によるもの
絶縁不良と言った点では前記線路での絶縁不良と相違はない。しかし、線路は原則として常時充電されており、これに対し負荷機器は入り切りの繰り返しが原則となる。そこで、原因究明を容易にするために区別しておいた方が好都合になる。現実の漏電の大部分はこれに該当する。
(4)電線の対地静電容量によるもの
電線は対地間で静電容量がある。電源が交流ですから当然ここに電流が流れることになる。電線の単位長当たりの電流は非常に小さいものですが、全体とした場合には無視することはできず、特に電線が長い場合にはそれなりに大きな値になるので、判断を間違う元になります。
(5)負荷機器の対地静電容量によるもの
商用電源は交流ですから接続されている何れかの部分に静電容量があれば絶縁がいくら良くても回路には電流が流れます。この電流はB種接地を通して戻ってきます。計測した漏電の値と絶縁抵抗値から計算した数値が合わない元凶とも云えるものです。
(6)負荷機器にとりつけられているノイズフィルターによるもの
ICや半導体を使用した機器においてはノイズによる誤動作を避けるためにノイズフィルターを設置しますが、これも見かけ上の漏電を発生します。これが最近増加しており、規制はされていますが、数値的にみると増加する傾向にあります。
(7)誤接続によるもの
間違ってアース回路を帰線に使用する形に接続されたものです。負荷の容量が小さい場合には当面の動作には全く支障がないので多くの場合に気が付きません。しかし、アース線に電流を流す事になるので、これによる障害は確実に発生しています。原因究明に手間取るものの一つです。負荷の容量が大きい場合には負荷端での電圧降下が大きくなるために、例えば電動機であれば回転が落ちる、うなるなどの現象が出て、おかしいことに気がつきます。
(8)いわゆる2点接地になっている場合
B種接地した相のどこかで(電線路、負荷機器内部を含む)絶縁不良になっている状態です。負荷電流が電線路とアース回路とに分流するので漏電は負荷電流に比例する事になります。当然負荷がなくなれば漏電もなくなります。
俗に迷走と表現されているものの中にこの現象によるものもあるはずです。
(9)電波によるもの
放送の電波、CB無線の電波等もB種接地線に流れています。
道路に近い位置に設置されたELBが動作する事例は少なくありませんが、原因の多くはこれです。
(10)高調波によるもの
負荷が高調波の発生源となり、この高調波が結果的にB種接地線に流れる現象が増加しています。インバーター、照明用のLED等が代表。
又従来にない機能を持った新しい機器が導入されていますが、これらが障害の原因を作っている事もあるようです。実態については解明されていない様です。
分類していけば大体以上のようになるかと思います。測定や原因究明に当たっては常にこれらの事を念頭において対処する事が必要です。
コメントを残す