漏電の原因調査に当って予備知識なしで闇雲に探し回るのは無駄が多い。調査にあたっては漏電の原因に関して系統だった知識が必要であろう。以下問題のありそうな項目を中心に分類してみた。工事や作業作業に当たっても頭に入れておく必要がある。
(1) 明確な人工的なミスで漏電を発生させた
- 電線に釘を打込んだ(外壁を固定するための釘)
- 電線をシャコマンで潰した(はしごを安定させるために縛るためのシャコマン)
(2)明らかな横着作業 本来の絶縁不良ではない 結果は漏電として出てくる。
- Ry操作回路の片側(言うなればT相側)をアースで代用
- 表示灯の片側を電源ではなくボックスに接続(電線本数の省略)
(3) 不備と不注意の重なり
- 傷の付いた電線、或は接続部に掃除などで水を掛けた
- フォークリフトで電線を潰した
- 自動ドアで転がしてある電線に傷を付けた
(4) 結果的に見て作業ミス
- テープの巻き方不良でテープの外れ……芯線はムキだし
- 接続ボックスの中でのくせ取り不十分 最終的に芯線がケースに接触した
- くせ取り不十分で接続部が水道管に接触し膨大な漏電になった事もある
- 蓋の固定用のビスで中にある電線を傷を付けた
- 結露の可能性のあるところで接続部分(ワゴ)を床面にくっつけていた。結露で水浸し。(接続部は立ち上げておきたい)
- 壁などの貫通部の手当不良 外力などで絶縁被覆が損傷
- 間違って電線を引っ張り鉄骨の角に当り芯線がムキ出し
- 接続が不良で外れ、芯線がムキだし。結果は漏電
- 電線が機械の往復動する部分に接触しており、被覆がすり減り芯線が接触して漏電
- 電線被覆がプーリーに触りすり減って芯線が直接接触。
- 機械内部のケースの上を転がし配線してあったが機械の振動によりケースの角で電線の被覆を削ってしまった
- 天井から吊した電灯線が鉄骨に接触しており、灯具の揺れで電線の被覆破損
- 電線を間違って引っ張り鉄骨に引っかかって絶縁被覆を剥がした
(5)作業の不注意
- ドリルなどの切粉が端子部分に付着 切粉が経路になっている
- 接続不良や部分断線でリード線の素線がばらけて構造体などに接触
- 組立て時、部品の取付時にカバーや蓋で電線を挟んでいた 後になって被覆が破れ漏電
(6)配線作業時の明らかな不注意
- 車の通る通路の下にパイプで配線
(7) 配線に問題あり
- 構造物で電線を挟んでしまった
- 針金でFケーブルをつるしてあったが熱で針金が食込んだ
- 埋設電線が埋設部分で外傷を受けた。
(8)保守、管理上の問題
- プラスチック成型機のヒーターの端子に樹脂が(高温で炭化している)
- 不良のものを外してなかった 間違えてSwon
- 電線の上に重いものを載せられ、電線が潰された
- 部品の固定不良で端子が外れ、その端子が想定外の所に接触
- 端子板でネジが緩み電線が外れケースなどに接触
- 電線の充電部分の水没
- 未処理不要電線のスイッチ投入で漏電
- フロアーコンセントに床磨きワックスが侵入
- レイアウト変更で不使用になった電線で先端が未処理だったため、間違えて元のスイッチを投入して漏電になった。(本来は撤去しなければならないもの)
- 機械の電源端子に埃が積もり、油、水分が掛かり漏電
(9) 構造上と思われるもの
- 熱盤でニクロム線が断線したしただけで済まず、変形してアース
(10) 電気と関係の無い作業上の不注意
- 電線を 機械と構造物の間に挟んだ
- 〃 成型機の型に挟んだ
- 〃 シャコマンで挟んだ
- 〃 移動用の踏み台で構造物に押しつけた
(11) ホコリが絡むもの
- 端子についたホコリに湿気。特にホコリに機械油が絡むと急に水と油は仲良くなる
(12)トラブルが絡むもの
- モーターの焼損 結果は漏電(2conのスターデルタで)
- 定格の間違い 部品の焼損 結果として漏電
(13)あってはならない作業ミス
- S相とアース線を間違えて接続
(14) 想定外の事態
- 電線の繋ぎの部分が結果的に水中に
- 防爆スイッチの中に水が溜った
- 防水コネクターの中に水が
- 地盤沈下で電線が引っ張られ屈曲部分の芯線が裸になった
- 天井直付けの蛍光灯で雨漏りにより水が入り安定器が水没
21/11/20
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