先輩の漏電対応の実例

今は亡き技術の先輩の実例

優れた技術、見識を持っていたが、漏電に関しての実績はなかった。

ある時「漏電はアンペア以上が問題であって、それ以下のものは問題にするに値しない」と言い切った。 

性格は分かっており、それを否定しても議論にならないので、

「それではアンペアの漏電はちゃんと管理していますね。もしアンペアの漏電で何かことがあったら話がおかしくなりますよ」

と柔らかく釘を刺すに留めた。 

この釘の効き目は絶大で、すぐに漏電の測定を始めたようだ。

漏電の 1アンペア を確定するためには測定の常識として測定器は少なくとも 一桁下の 0.1 アンペアをある程度の精度で読めるものが必要になる。

ところが、このレベルの測定器を使用すると、これまで無視しており、全く見えなかった 0.2アンペア、 0.3アンペアといった漏電(絶対値の正確さは別にして)が目に見えるようになる。見えた以上技術者としてこれを放置するわけにはいかず、次に進むことになる。

調査すれば当然そこには何かが見えてくる。技術者として 

” 絶対に放置してはならないものが ”

釘を刺してから数ヶ月後には通常使用するクランプメーターの他に 1 mA 以下まで測定できる大型で高額のクランプメーターまで調達していた。

議論大好き、絶対負けず嫌いな先輩だったが一気にここまで進めるとは考えてもみなかった。そして見事な技術者魂には頭が下がった。以後漏電の議論は一切していない。

今になって考えると、漏電でまともに対応した唯一の人に思える。

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