なぜ漏電を問題にするのか

漏電という言葉で何を連想しますか

 火災ですか。  

 それとも感電ですか。

現実に漏電による実害を受けた事例は非常に少ないと思う。

では、その火災や感電の可能性はどの程度あるのかご存じですか?  電気のプロと称する人(特に電気設備の管理に携っている人)はこの点を問題にして欲しいのです。

明らかに漏電が原因の火災を確認したことがありますか。

プロ、アマを問わず、感電した経験を持っている人は多いでしょう。しかしその原因が明らかに漏電にあったと言えるものはありますか ? 

電源が活きている(充電中の)電線や端子に触ったのと違いますか。さもなければアースの効いていない絶縁不良の機器に触ったのと違いますか? この種の感電はここで問題になる漏電とは関係のない別ものなのです。(これは漏電の管理ではなく安全管理上の問題或いは設備管理上の問題です。)

漏電による実害がありましたか。それはどんなものでしたか。勝手に怖いと思っただけと違いますか。

漏電は怖いと(現実に可能性のある具体的な障害やトラブルの指摘はできないにもかかわらず)単に脅されて(或いは脅して)いるだけと違いますか。

素人の人が知らないのは当然ですが、電気のプロと称する人でも漏電の詳細は意外と解っていません。

漏電を突き詰めていくと意外なことばかりです。

最初の疑問点

50年以上も前の新聞の火災の記事を見てください。原因が不明なものは「漏電らしい」となっているでしょう。しかし最近では原因が漏電らしいという記事はまず見あたりません。不思議に思いませんか? 理由は簡単です。漏電が原因と確認されるものがほとんど(全く?)出てこないのに対して、トラッキング現象、グラファイト化現象が原因と確認されるものがいくつか出てきているです。しかし、現実はこれも多くはないのです。そこで消防署でも漏電らしいしとは発表できなくなっているのです。(当然、新聞は漏電らしいとは書けません) トラッキング現象による発火は最近になって急増したものではないのです。昔からあった現象なのです。ただ、理論的にある程度解明され、現場検証の結果トラッキング現象であることの確証が取れたものが幾つか出てきただけの話です。これに対し漏電である確証は全くと言っていいほど取れないのです。(メタルラスは漏電火災の原因として確証が取れている唯一の事例) しかし、漏電の発生比率は今も昔も大きくは変化していないはずです。昔は漏電が多かったわけではないのです。

現実問題として現在では漏電が原因の火災は考える必要がないと言っても過言ではないでしょう。

一方で感電はほぼ全員が経験しているはずです。しかし、原因を追及して、明らかに漏電が原因であると確認できるものは非常に少ないのです。感電の実態の多くは次の二つです。

☆ 電源が活きたままで電線や端子に触り感電しているのです。

  機器、あるいは設備の側で間違って手や体が触れないように構造的な対策を施し、更に注意書きなどしていますが、わざわざカバーや安全装置を外して感電する事例が後を絶たないのが実情。最終的には本人の認識、注意以外に予防も対策もありません。

☆ アースの効いていない(アースの工事をしていない、或は工事はしたがその後の手入れをせずに接続が外れ、又はアース線が断線しているなど)絶縁不良の機器に触って感電しているのです。

これらの場合、結果的には(人体を通して)漏電しますが、人が触る前には漏電していないのです。漏電していたから感電したのとは違います。この場合事前に漏電はしていないので予見することは不可能です。(検電器を使用して充電中、或はアース不良の確認をすることは可能) 事前に絶縁のチェック、アース工事の完全施工とアフターケア、漏電遮断器の設置など対策をすることにより、予防する必要はありますが、漏電の管理とは別ことになります。(漏電を監視していても予防はできないと言うことです) 現実の感電はこれらがほぼ全てでしょう。 

電線、或いは活きている状態の端子に触っての感電は、例え事後であれ、間違っていたことに気づくので、議論の余地はないでしょう。

しかし機器に触っての感電は(特に素人の人には)納得がいかない筈です。多くの場合これを漏電のせいにしていると思います。しかし管理する立場から見ればこれは別物であって、区別する必要があるのです。絶縁測定しても、漏電の測定をしても感電の可能性のある状況はつかめません。対策は全く別ですから。

明らかに漏電が原因の感電もごく少数ですが経験しています。ところがこのうちの少なからぬ比率で不良の機器は触っても何でもなく、これから離れた不良でない機器でピリピリきているのです。意外に思われるかもしれませんが、漏電による感電とはこんなものなのです。

漏電が原因による火災、感電は実は非常に少ないのです。以下別項で実態について説明していきますが、実は漏電の件数の99.9%以上は恐れられている火災や感電とは実質無縁なのです。(小生、漏電管理やがて50年にして火災になりそうな漏電には遭遇した事がない。計測した漏電の最大値、動力200V回路で150Aでしたが感電や火災の危険箇所全くなし) 漏電が原因による感電経験は生涯で片手程度しかない。意外に思われるのと違いますか。

漏電とはそういうものなのです。

それでは、漏電を放置して良いのでしょうか。それはとんでもない議論のすり替えです。

管理するメリットは今までは考えられていた火災予防や感電防止とは別のところにあるのです。

ズバリ

「予防保全」

なのです。不意打ちの機械の停止や停電は漏電という事前現象がある場合が少なくないのです。

漏電という現象

はほぼ全ての場合に設備の状況を見るバロメーターとしての活用方法があるのです。

電気設備を管理している技術者に対して声を大にして主張したい

  ※ 漏電を測定しよう !

  ※ 漏電の原因箇所を電気技術者の手で追求しよう !

  ※ 漏電は電気設備のバロメーター、予防保全に活用しよう !

漏電を管理し、その結果で素人、お客を脅すのではなく、喜ばれる方向に持って行こう ! そこには新しい展開が開けます

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