漏電調査の奥の手

明らかに問題のある漏電と判断されたら、原因箇所を調査しなければならない

漏電が継続しているのであれば0相電流の測定を繰り返せば原因箇所にたどり着ける。これが間欠的な漏電であれば調査に時間を要することになるが

しかし、漏電遮断器が入っており、電源が切れてしまった状態においては、漏電の測定を行うことができない

次の手段が必要になる

漏電遮断器がどのような状況でトリップするのか

 ここで言う漏電遮断器は主回路ではなく個別の機器についている専用の漏電遮断器とする

もし主回路の漏電遮断器であれば、どの分岐回路かを探すことが先決である。

① 投入と同時にトリップする。

② 電源投入だけでは動作しないがある段階に来たところでトリップする

この2つは調査方法が全く違ってくる

①の場合には、まずメガーの使用が考えられるが、それで突き止められるのは非常に幸運な事例でしかない

お奨めは二次電圧100ボルトの絶縁変圧器と100ワット程度の白熱電球を準備。変圧器の二次側の一線をアースし、他の一線に白熱電球を直列に接続し漏電遮断器の二次側につなぐ。問題はどの端子に繋ぐかである。いずれかの端子につないだときに、漏電に相当する電流が流れるはずである。(直列の電球の抵抗、電圧の関係で本来の漏電の電流値よりは少なくなる)この電流の先を辿っていけば原因箇所を簡単に突き止められる

経路探査器(※)の使用も考えられる。発信器の一線を電源側に、他方をブレーカーの二次側端子に接続する。これで漏電点を廻る閉回路が構成され、信号電流が流れることになる。探査器でその信号を追っていけば漏電箇所にたどり着ける。

※経路探査器 負荷として特殊信号の発信器を持ち、電源側に送出す。探査器でその信号を追っていけば上流の経路が解る様になっている。ここでの使用は本来の目的とは逆の負荷側に向って信号を出すことになる。

②の場合、どのような状況になったとき、あるいはどの作業過程であるかを詳細に観察することから始まる

(最初からメガーの持ち出しは無謀と云わざるを得ない)

その過程が分かれば後は、シーケンス図の出番で、その過程がどこにあるかを探す事になる。この場合の最後の確認は回路テスターのオームレンジの出番であろう。

どうしても状況が正確につかめない場合には①の場合の絶縁変圧器と白熱電球のセットの出番。シーケンス図をにらみながら、心当たりを順番に当たっていく。多くの場合には電球の明かりを頼りに調査していける。

少々複雑な設備の場合でも調査にはそれほどの長時間は必要としない。

240ボルト100ワットの白熱電球(ソケットに電球保護用のカードが付いている)に、先にクリップのついた長い(5m以上ある)リード線をつけた探査用具は、検電器、クランプメータ、回路テスタなどと並んで常備品のひとつになっている。

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