漏電の原因を調査してわかることは、電線路での漏電は全体の1%を遙かに下回る。残りは、と言うと負荷機器、コンセントの先で発生している。
なぜこれを問題にするかと言うと、対応方法が全く異なってくると言うことである。
まず機械の場合。
原因箇所の調査に手間取っている間に、もっと極端な場合には、放置してあったにもかかわらず、漏電が出なくなった経験があるはずである。いったいこれは何を意味するのか。漏電の原因が勝手になくなるなどは有り得ない話である。
機械や設備にトラブルや誤動作があった場合には間違いなく修理の手配をする。するとサービスマンは途中経過はどうであれ、修理をし、正常に動くようにするしかない。
修理に際して、サービスマンはそこに漏電が絡んでいる事は知らないし、多くの場合漏電の発想もない。サービスマンの悲劇の始まりと言うしかない。
経験的に言うと、この修理が終わった段階で漏電がなくなっているのである。修理のそもそもの目的は正常な動作に戻すことであるが、この修理作業によって、漏電の原因をも除去しているのである。
管理技術者には修理の情報が入っていないので、根拠はわからないが漏電が出なくなった事実だけを知ることになる。最初の症状と結果だけを見れば、それは幽霊でしかない。
この事実がこれまでの漏電管理の実態である。
設置者は多くの場合に漏電が出ていることを知らない。当然修理業者もそのことは知らない。従ってトラブルの症状から論理的、シーケンス的に原因箇所を追及して行くしかない。ところが、漏電が原因によるトラブルは接点不良、部品の不良や断線によるトラブルとは症状が全く違う場合が多い。回路上は有り得ない状況が出てくる。その結果原因追求は非常に苦労する。
ここで経験的に言えることは、トラブル修理の際に漏電していることが分かれば原因箇所の追求は非常に簡単であると言うことである。シーケンス的な追求が非常に困難な症状の場合であっても、漏電が絡んでいることが分かれば、ものの数分で解決する事例を多く体験している。
最善の策は、修理の着手前にサービスマンに漏電の事実を伝えることである。
さらに言えばサービスマンが修理作業の際に管理技術者が立ち会うことである。そしてサービスマンの要請に応じて漏電の状況を知らせることである。これによって修理作業の時間は大幅に短縮され、サービスマンは喜ぶし、お客にとっても修理時間の短縮は喜ばしいことである。
ここでは管理技術者は脇役の1人に過ぎなくなる。
なお、追加的に説明するならば、漏電の原因を作っている機械までつかめていれば、それは最高であるが、それをつかめておらずパンクでの漏電しか分かっていない場合でも、トラブルの機械がバンクの範囲内であればまったく同じことが言える。いわば半端な漏電情報でもあっても修理に対しては非常に有効といえる
ここまで来ると、電気管理技術者は脇役になってしまうが、設置者から見れば、トラブルの時間を短縮することができ、管理技術者の恩恵を受けることになる。またサービスマンも苦労が減少し、作業時間が短縮でき感謝するはずである。幽霊は幽霊ではなく、現実に目の前に不良箇所として現れてくる。管理技術者も納得できるはずである。
漏電の原因箇所が電線路の場合
間違いなく漏電は継続している。漏電の絶対値も安定しているのが普通である。
別の項目でも記してあるが、原因が自然解消する、あるいは指示もしないのに業者が勝手に修理するという事は有り得ない。何が何でも管理技術者の手で原因箇所を探す必要がある。修理や工事はその時の状況により違ってくる。
現象として見える事態は極めて少ないが21/11/23
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