漏電は(交流の場合)対地静電容量の要素によっても発生するために、電流値と絶縁抵抗値との関係が一義的に定らず、従って同じ電流値であっても、絶縁が良好な場合と絶縁不良の場合とがあり得る。
一方、怖いと言われている漏電は間違いなく絶縁が低下している。そして漏電が増加した場合その原因箇所を探せば、間違いなく絶縁不良(メグとしては 0 、実態は絶縁破壊)の場所、部分、部品が存在している。漏電と絶縁不良とは直結、それ以上に「イコール」と言っても良いでしょう。
しかし、この考えを前提にすると、いわゆる漏電管理をしようとする場合(以前の通達にあった15mAで注意、50mAで危険と言ったものを含めて)、或は漏電は火災の原因であるから防がなくてはならない、と言った面から漏電を測定した場合には、間違いなく大きな壁にぶつかります。火災の可能性があると言われている100mA以上の漏電であっても多くの場合原因箇所を掴めないでしょう。原因箇所が判るのは散々苦労しても10%にはほど遠いでしょう。所が、数ヶ月後から急に漏電が出なくなります。元に戻るのです。管理者は胸をなで下ろします。一件落着です。
お客は取り敢ず支障がなければ仕事は続けていますし、故障したら、或は動きが正常でなくなったら修理するのは当然と考えている。結果的にここで漏電の原因を除去しているのです |
これで問題なかったのでしょうか。否、問題が表面に現れなかっただけの話です。漏電による被害は出ているのです。
お客が故障、トラブルを予防できるものであることを知らないから、苦情が来ないだけの話です。
機械が動かなくなった段階で業者に依頼し修理、その修理が漏電の原因除去にもなり、そこで漏電が出なくなったのです。勝手に漏電がなくなるはずがないのです。 |
漏電の段階でその箇所を見つけ、直せば、急に機械が止って慌てる事態はなくなります。予防できるものなのです。表現を変えれば 漏電は 「故障、トラブル」 そのものなのです。
そこで声を大にして叫びたい。
漏電は低圧側回路、機器の バロメーター です |
絶縁抵抗値の良否の判定は技術基準の解釈に則り100Vの場合0.1MΩ、200Vの場合0.2MΩを基準にしています。この時の漏電は1mAです。実際の漏電を見ていると電灯回路で数mA変動することは当然ですし、動力回路(3相200V100KVA変圧器程度)でも10mA以上に亘つて変動している施設は珍しくありません。この電流の変動をどう解釈しますか。抵抗分と解釈したらとんでもない絶縁不良です。すぐに修理が必要になります。
しかし、現実には、多分大部分の場合、心配するような状況にはなっていません。最終的な判断にはその施設での過去のデーターの積重ねと、経験が必要になりますが。
漏電も最後の結論は論理的に合理性を持った説明ができなければなりません。間違いなく電気理論に則っています。
しかし、漏電の管理を理論から入っていくのは勝手ですが、それは無謀です。とても不良箇所には到達できません。
とにかく測定することが先です。そして更にです
測定をしていく過程において 直接的には漏電とは無縁だが 設備管理、或は工事、それに従業員教育の面から見て 「まさか」 の状況、事態が次々と出てきます。 本来あってはならないこと、目にしたくない状況が目の前に現れてくるのです。これを見逃したら管理とは言えないでしょう。 |
「電気屋」の常識を変える必要が生じるかも知れません。とにかく設備に対する見方が変わってきます。突詰めていけば低圧の電気のトラブルは大幅に減少すること間違いありません。
とにかく「 漏電の測定をしよう 」
そして 「周辺をよく見ながら、原因箇所を突止めよう」
「見た結果をフィードバックしよう」
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