漏電により発生する現象、トラブル

漏電によるトラブルの代表的なものは何と云っても素人の人でもご存じのもっとも恐れられている

○ 火災

○ 感電

でしょう。しかし、その内容については異論がありますので、別の項目で詳しく述べますが、漏電による火災や感電は、率、可能性としては非常に低くても、万が一の場合には大火災、死亡事故となり、影響があまりにも大きいので、漏電によるトラブルのリストには当然トップに並ぶ事になるでしょう。

それではそれに続くものはとなると、多くの人は頭に浮かばないのではないでしょうか。漏電管理の歴史が浅いのでやむを得ないのですが、云われれば心当たりはある筈です。理屈は後回しにして、意外のものを並べてみましょう

○ 停止ボタンを押しても機械が停止しない。あるいはスイッチを切っても照明が切れない。始動ボタンを押しても始動しない。機械が勝手な動作をする。このような現象は、常識的にはシーケンスの問題と考えられ、漏電とは無縁の様に見えますが、原因が漏電である場合が少なくありません。

○ シーケンサ、コンピュータ等の半導体使用機器の誤動作。これ等の誤動作は原因は多岐に渡っており、調査に当って漏電は見過ごされがちですが、問題が出たら真っ先に漏電について調査、確認することをお奨めします。何分にも直ぐに測定できるのですから。

○ 埋設物の腐食、水道の漏水、ガス漏れなど。これは相当時間が経過してからでないと表面に出ないので漏電の事は無視されているようですが、現実には大きな問題と考えられます。接地抵抗が急に大きくなった場合もアース電極が電食でやられていることが考えられます。ただ、この様な現象に気がついた時点では漏電は既に解消している場合が少なくありませんので事は厄介になります。普段の漏電管理が問われます。 

○ 電気の全くないところでピリピリくる。健全な機械でピリピリくる。ところが不良の機械そのものでは何でもない。現実にこれを見せつけられたら手品としか思えないでしょう。これが現実にあるのです。ピリピリきたらその機械の調査に先立って大元で漏電を調べることです。(アースが効いている事が前提。アースのないものは論外)

○ 対地電圧の関係が崩れる。本来接地相の電線の対地電圧はほぼ0Vであるはずですが、これが電圧を持ってくるのです。当然他の相の対地電圧も本来あるべき電圧とは無縁な状態になってきます。場合によっては対地電圧が相間の電圧より高くなる事もあります。100V、200V回路で対地電圧が300V近くになる事があります。

○ 意外な場所、例えば地中での発熱。蒸気が噴出して温泉が湧いたと騒ぎだした事もありました。水道の蛇口からお湯が出てきた話もあります。

○ 負荷は正常に動いている(様に見える)にもかかわらず電線やブレーカが熱を持っている。当然負荷電流はアンバランスになる。

○ 末端での電圧降下が大きい。末端での電圧の変動が大きい。

○ 製品の不均一。最悪は製品不良。常識的には漏電とは無縁の筈だが現実に漏電の監視によって問題を解決している。

○ 電源onから作業開始までの準備時間の長時間化

○ センサー、入力端の故障、破損。

○ 高圧ケーブルのシースアース線の焼き切れ。結果的には漏電の電流でシースアースをアース極に繋ぐIV線を焼き切ったものでした。

○ 電線の焼損。地絡電流が大きい場合細い電線は焼切れてしまいます。その結果漏電は解消しています。電動機端子で漏電し、保護用のサーマルリレーを損傷させ、サーマルリレーの不良として処理した例もあります。

その他にも多くの現象がありますが、後の実例の所で説明したいと思います。

この内、埋設物の腐食、機器の誤動作に関してはこれまで殆ど問題視されていませんが、これらの症状がある場合には是非漏電のチェックをすべきです。原則論で言えば(逆説という事になるかもしれませんが)常時漏電を監視しておればこの様な障害は防止できるという事です。

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