漏電とは

漏電とはいったい 何者なのか 厳密に考えたことがあるのだろうか。

電流は本来の目的から予定されている回路、すなわち電線の中だけを通ってほしい。

しかし現実には、予定外のところを流れている。その原因には種々あるが、電気設備の管理の上からはこれらB種接地線に流れる予定外の電流を全て ”漏電” と呼ぶと論理的な展開がしやすくなる。そこで、ここでは本来の予定された電線以外のところを流れる電流をすべてを総称して 漏電 と称することにする。そして困り者、厄介者、直ぐに対処が必要な電流を不良漏電と呼ぶことにすると

漏電= 電線路、機器の対地コンデンサ成分による電流 

    + 電線路、機器の絶縁抵抗成分に流れる電流 

    + ノイズフィルタなどの電流

    + 負荷で発生する高調波に起因する0相分の電流

    + 工事不良、管理不適切による電流

    + 所謂不良漏電

と言うことになる。

視点が違うだけで、本質的には前ページの 「B種接地線に流れる電流」 と一致する。この視点の違いは漏電を管理するに当っては大きな意味を持ってくるので意識しておく必要がある。

このうち前2者は論理的に避けることができない。

ここで修理、補修などの対処が必要なものは 5項と6項 であり、基本的に電源電圧の波形に依存するものである。ただし、不良漏電が例えば放電を伴うような場合には全く違ってくるが、今だかってその様な事例には出合っていない。

ノイズフィルター これも機器側の事情によるものであるが、避けることができない。しかし、汎用の機器については規制があるので、概ね台数に比例することになるが、規制対象外で大きな値になるものもあるので、管理する上ではその存在を知っておく必要が出てくる。

高調波の問題  これは管理上非常に困ったもので、最近だんだん大きな値になってきている。汎用のものではインバーターが最大の発生源であるが、インバータを禁止するわけにはいかないので、これも避けることができない。インバータの性格上、負荷の変動につれて高調波も変動するので、見かけ上の漏電も大きく変動することになり、管理する上では非常に厄介なものになる。又、照明がLED化しているがこれも高調波発生の大きな要因になっている。

測定器に少々強力なフィルターが付いていても高調波の影響を避けることは難しい。

最後に問題になるのが工事不良、管理不適切による電流と所謂不良漏電である。これ等を探す事が漏電の管理になる。

所が、B種接地線に流れる電流がきれいな正弦波であれば話は単純になるが、現実には全ての電流が合成されたものであり、高調波やノイズを含んでおり、これに測定器(漏電計)の特性、性能の問題が絡んできて、頭で考えているようにはいかないのが漏電の管理であると言える。

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