アースの線に流れる電流が漏電とは限らない

アース線は保護接地であれ、機能接地であれ、そこには計測できるような電流は(本来は)流れない筈。そこに電流が流れているわけですから、それを漏電と勘違いするのはやむを得ません。そこでアース線に電流が流れているが原因が判らないので応援して欲しいとの依頼になるわけです。所が実際には次の様な例が多いのです。

アース線の電流測定は漏電管理のスタートになるわけですから、管理に当たっては絶対に必要な予備知識と言えます。

その1  連接キュービクルのキュービクル間の渡り線  配電盤間の渡り線

その2  変圧器、コンデンサーなど高圧機器のA種接地線、低圧機器のC種、D種接地線、

その3  ケーブルのサドルのアース線

その4 D種接地が複数の分電盤を渡っている場合

渡り線は落ち着いて見れば直ぐに判るはずですが、意外に多くの人が大あわてをしているようです。負荷の大きいところではアンペアオーダーの電流が流れますので、一寸びっくりすると思います。

配電盤の間の渡り線は配電盤自体が接地抵抗を持っていますので接地回路を通しての循環電流と言うこともあります。

高圧機器は多くの場合、そもそも導体である鉄骨のフレームに直接固定されています。従って機器のアースはそれだけで十分に効いているはずです。しかし確実性の必要からA種接地のアース線を接続しています。変圧器から見れば、並列回路でアースされていることになるが、その部分だけを見ればアース線を含めた閉回路が構成されます。負荷電流或は変圧器の漏洩磁束によってアース線、フレームに誘起電圧を生じますのでアース線には循環電流が流れることになります。

ケーブルのサドルも高圧機器の場合と全く同一です。

紛らわしい電流ですが実害はありませんので確認さえしておけば充分です。

確認の方法はアース線を含めた閉回路があるはずですから、回路を辿れば確実ですが、アース線に流れる電流の変化が、多くの場合に負荷電流(近くにある大電流の回路)の変動と連動しますので、簡単に見当がつくものなのです。ちなみに無負荷の場合にはこの電流はほぼ 0 になります。

アース線ではありませんが、オープンフレームの変電設備でフレームのパイプにアンペアオーダーの電流が流れているのを見たことがあります。意外さにびっくりしたものです。

閉回路は導電体が繋がっていれば何れの箇所でも、例えば建物の鉄筋、鉄骨、を始あらゆる構造物でも導電体であればできてしまうので、先入観は禁物です。従って循環電流、迷走電流は至る所に存在しています。落着いて周囲を観察することです。

以上は迷走電流が単独の場合についてですが、これに所謂漏電が重なる場合があります。漏電は当然B種接地線で確認するわけですが、迷走電流の変化で漏電に気付く事もあります。

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